消費税法における価格表示の猶予期限が迫っています。
消費税転嫁対策特別措置法の適用期限は、令和3年3月31日です。
この期限は、平成28年11月の税制改正により、平成30年9月30日から延長されていました。
令和3年度税制改正大綱
令和2年12月21日に令和3年度税制改正の大綱が閣議決定されましたが、この適用期限の延長に関することには触れられていません。
そのため、予定通り令和3年3月31日で猶予期間が終了となる見込みです。
令和3年4月1日からは、消費税額を含めた総額表示になりますので、小売り事業者等はその対応を行う必要があります。
すでに、総額表示に切り替えている事業者は大丈夫ですが、そうでない事業者は、対応が必要です。
値札のやり替え作業が発生します。
商品点数の多い事業者は、事前に準備しておく必要があります。
総額表示
値札、チラシ、ポスター、商品カタログ、インターネットのウェブページ等において、商品等の価格を税込価格で表示する必要があります。
9,800円(税抜)
9,800円(税抜価格)
9,800円(本体)
9,800円(本体価格)
9,800円+税
9,800円+消費税
9,800円(税別)
9,800円(税別価格)
等の表示が認められていました。
これが、4月1日以降は
10,780円
と表示する必要があります。
新型コロナウイルス感染症等の影響で売上が厳しい状況ですが、価格表示の改訂により、さらなる売上減少を引き起こさないように事前にしっかり対策する必要があります。
事業者が消費者に対して価格を表示する場合の価格表示に関する消費税法の考え方
総額表示に関しては、平成16年4月1日から、消費税法において、事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合には、税込価格を表示することが義務付けられています。(総額表示義務)
この義務付けは、税抜価格のみの表示ではレジで請求されるまで最終的にいくら支払えばいいのか分りにくく、また、同一の商品・サービスでありながら「税抜表示」の事業者と「税込表示」の事業者が混在しているため価格の比較がしづらいといったことを踏まえ、事前に「消費税額を含む価格」を一目で分かるようにするという消費者の利便性に配慮する観点から実施されたものです。
総額表示義務については、平成26年4月1日及び令和元年10月1日の二度の消費税率の引上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保及び事業者による
値札の貼り替え等の事務負担に配慮する観点から、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」により特例が設けられ、平成25年10月1日から令和3年3月31日までの間、一定の要件の下、税込価格を表示することを要しないこととされています。
事業者は、自己の供給する商品又は役務の価格を表示する場合において、平成25年10月1日から令和3年3月31日までの間、消費税の円滑かつ適正な転嫁のため必要があるときは、「現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置」(誤認防止措置)を講じている場合に限り、税込価格を表示(総額表示)しなくてもよいこととされています。
平成28年11月の税制改正により、消費税転嫁対策特別措置法の適用期限は、平成30年9月30日から令和3年3月31日に延長されました。
総額表示への対応をしっかり行うことが重要です。
詳細は、国税庁のホームページを参照ください。